みなさんこんにちは。sakucame Blog sakuです。
風景を撮るときはNikon Z7を持ち出すことが多いです。三脚に載せて、ISOを下限まで落として、絞って撮る。あの撮り方をしている限り、Z7で不満らしい不満は出ません。
それでも中判が気になるんですよね。
というわけで今日は、ハッセルブラッドで風景を撮るための購入計画を、最後まで数字で詰めます。結論から言うと、最新のX2D II 100Cではなく初代X2D 100Cの中古になりました。その理由を順番に書いていきます。
長くなるので、気になる方だけ読み進めていただければと思います。

ベースISOから入ると、いきなり話が終わります
中判を調べはじめて最初に見るのがISOの下限です。私の撮り方だと、ここがいちばん効くので。
数字を並べるとこうなります。
- X2D II 100C:ISO50〜25600(公式表記はネイティブISO 50)
- 初代X2D 100C:ISO64〜25600
- Nikon Z7:ISO64〜25600(ニコンの公式仕様の常用範囲)
Z7、すでにISO64なんですよね。
つまり「低感度で撮りたいから中判に行く」という理屈は、Z7を持っている時点で成立しません。X2D IIと比べても差は3分の1段です。NDフィルターを1枚足せば消えてしまう量です。
ここは最初に認めておいたほうがいいと思っています。ISOの下限を理由にハッセルブラッドを買うことはできません。
実際に変わるのは、面積と階調のほうです
ではどこが変わるのか。センサーのサイズです。
数字はどちらもメーカーの公式仕様から引いています。ハッセルブラッドはX2D 100Cのデータシート、ニコンはZ7の製品ページの仕様表です。
- X2D系:43.8×32.9mm
- Z7:35.9×23.9mm
掛けると1441平方ミリと858平方ミリ。面積にして約1.7倍です。ここは素直に大きい。
ただしこの「1.7倍」はメーカーが言っている数字ではありません。公式の寸法を私が割っただけのものです。
そして、ここで一つ気をつけたいことがあります。画素ピッチを見ると話がひっくり返るんですよね。
- X2D系:1億画素で3.76μm
- Z7:4575万画素で約4.35μm
ハッセルブラッドのほうは、データシートに画素サイズ3.76μmとそのまま書いてあります。いっぽうニコンは画素ピッチを公表していないので、Z7の4.35μmは公式の横幅35.9mmを記録画素数の8256ピクセルで割った計算値です。
その前提で見ると、1画素あたりはZ7のほうが大きいんです。
中判にすると高感度に強くなると思われがちですが、1億画素を詰め込んだ時点でそうはなりません。面積の利は画素数に食われています。だから「中判だから暗所に強い」は、少なくともこの組み合わせでは逆です。
では1.7倍の面積は何に化けているのか。階調と解像です。
X2D系は16bitで、ダイナミックレンジは初代が最大15ストップ、X2D IIが最大15.3ストップ。これもハッセルブラッドの公式値です。
ここから先は私の見方になります。この階調と1億画素の解像が、三脚に載せて絞って撮る風景にそのまま出てくる。中判を買う理由はここ一点だと考えています。暗いところに強くなるから、ではありません。
ただ、測定データで「中判のほうが階調が豊かだ」と証明したわけではないので、ここは私の意見として読んでいただければと思います。
X2D II 100Cと初代X2D 100C、実はセンサーが同じです
ここが今回の計画の分かれ目でした。
公式のデータシートを両方そろえて並べたところ、撮像素子そのものが同一でした。43.8×32.9mmの裏面照射CMOS、1億画素(11656×8742)、画素ピッチ3.76μm、16bit。ここに差がありません。
差分を整理するとこうなります。
風景で効く違い
| 項目 | X2D II 100C | 初代 X2D 100C |
|---|---|---|
| ベースISO | ネイティブ50 | 64 |
| ダイナミックレンジ | 最大15.3ストップ | 最大15ストップ |
| 背面モニター | 3.6型OLED(Display P3 100%) | 3.6型TFT 236万ドット |
| 重量(ボディのみ) | 730g | 790g |
風景ではほぼ効かない違い
| 項目 | X2D II 100C | 初代 X2D 100C |
|---|---|---|
| AF | LiDAR+像面位相差、AF-C、被写体検出 | 像面位相差+コントラスト、AF-Cなし |
| 測距点 | 425点 | 294点 |
| 手ブレ補正 | 5軸10段 | 5軸7段 |
変わっていないところ
センサー、EVF(約576万ドット・倍率1.0倍)、1TB内蔵SSD、CFexpress Type B(最大512GB)。
新しくなったのは読み出しと処理系とAFです。写る画の土台は、2022年に出た初代と同じものが載っています。
三脚に載せた瞬間、新しくなった部分の半分が消えます
ここが今回いちばん言いたいところです。
X2D IIで増えたLiDAR AF、AF-C、人や車や猫や犬の被写体検出。これ、三脚に据えて風景を撮るときに一度も使いません。動かない山にAF-Cは要りませんし、岩を犬として検出してもらっても困ります 笑
手ブレ補正の7段→10段も同じです。三脚に載せたらオフにします。むしろ入れっぱなしにすると補正ユニットが微動して解像が落ちることがあるので、切るのが基本です。
そうやって引き算していくと、初代から本当に増えるのは次の4つだけになります。
- ISO 64→50(3分の1段)
- ダイナミックレンジ 15→15.3ストップ(0.3段)
- 背面モニターがTFTからOLEDへ
- 60gの軽量化
手持ちでポートレートも撮る人なら、X2D IIは完全に買い替える価値があります。LiDAR AFは別物ですから。ただ、三脚の風景だけを考えるなら、増えた部分のほとんどが自分の撮り方の外側にあります。

標準と超広角を揃えると、いくらになるのか
ボディだけ買っても写真は撮れないので、レンズまで入れて計算します。
欲しいのは標準と超広角の2本です。XCDレンズは焦点距離がそのまま書いてあって分かりにくいので、35mm換算(係数は約0.79倍)を添えておきます。
| プラン | 超広角 | 標準 | レンズ計 | ボディ込み総額 |
|---|---|---|---|---|
| 軽量・節約 | XCD 4/28P 約26.2万円(22mm相当) | XCD 4/45P 約14.3万円(36mm相当) | 約40.5万円 | 約145万円 |
| 単焦点2本 | XCD 2.5/25V 約52.5万円(20mm相当) | XCD 2.5/55V 約52〜57万円(43mm相当) | 約105〜110万円 | 約209〜214万円 |
| ズーム2本 | XCD 3.2-4.5/20-35E 約84万円(16-28mm相当) | XCD 2.8-4/35-100E 約54〜64万円(28-79mm相当) | 約138〜148万円 | 約242〜252万円 |
ボディはX2D II 100Cの実売104万円で計算しています。
この表、よく見ると値段の並びがおかしいんですよね。超広角ズームのXCD 3.2-4.5/20-35Eが84万円もするのに、標準ズームのXCD 2.8-4/35-100Eは54万円から。そしてXCD 4/45Pだけが14.3万円で浮いています。
Pシリーズという軽量パンケーキ系の2本(28Pと45P)が、このシステムの中で明らかに価格の毛色が違います。風景で絞って使うならF4通しで何の問題もないので、ここは素直に恩恵を受けていいところだと思っています。
差額をレンズに換算すると、答えが出ます
さて、本題です。
- X2D II 100C:実売 約104〜113万円
- 初代X2D 100C:新品 約85万円/中古 57万円から
X2D IIの新品と初代の中古を比べると、差額は約47〜56万円。
この金額、何が買えるかというと。
XCD 4/28P(26.2万円)とXCD 4/45P(14.3万円)が2本とも買えて、まだ7万円以上余ります。
つまり選択はこうなります。
ボディを最新にするか、超広角と標準のレンズを手に入れるか。
三脚に据えた風景写真で、撮れる絵が実際に変わるのはどちらか。考えるまでもなく後者です。3分の1段のISOと0.3段のダイナミックレンジのために、画角を2つ諦める理由がありません。
初代中古+28P+45Pで、総額およそ98万円。超広角22mm相当と標準36mm相当が揃って、100万円を切ります。
これが今回の結論です。
中古で買うなら、ショット数より先に内蔵SSDを見ます
ただし初代を中古で買うなら、確認すべきことが2つあります。
ひとつめは内蔵SSDです。
X2Dは1TBのSSDを内蔵していて、ここに撮って、あとからUSB-Cで吸い出す設計になっています。便利なんですが、SSDには書き換え寿命があります。しかも交換はメーカー送りです。
普通の中古カメラならシャッター回数を見ますが、X2Dの場合シャッターはレンズ側のレンズシャッターなのでボディはあまり減りません。見るべきはSSDの使用量のほうです。業務でがっつり回していた個体かどうかは、ここに出ます。

レンズシャッターというのは、ボディではなくレンズの中に羽根が入っている方式のことです。ハッセルブラッドのXCDレンズは全部これなので、消耗するのはボディではなくレンズ側になります。中古の見方が普通の一眼と逆になるので、ここは覚えておいて損がないです。
ふたつめは背面モニターです。
初代は3.6型のTFT、X2D IIはOLEDです。スペック表だと1行の違いですが、風景は屋外で撮ります。晴れた日に背面を見ながら構図を詰める場面で、この差はスペック表の見た目より効きます。
とはいえEVFは両機とも約576万ドットで同一です。EVFで構図を決める人なら、ここは飲める差だと思います。
富士のGFXにも一応触れておきます
同じ1億画素の中判なら、富士フイルムのGFX100S IIという選択肢があります。実売で約78〜84万円。初代X2Dの新品より安く、X2D IIより30万円近く安い。
正直、合理性だけで言えばこちらが強いです。レンズの選択肢も多いですし、AFも動きます。
ただ、ここを本気で比較しはじめると記事がもう1本ぶんになるので、今日は「同価格帯にちゃんと選択肢がある」という事実の提示にとどめます。そもそもハッセルブラッドを買う理由に合理性だけで説明できない部分があることは、買おうとしている本人がいちばん分かっているので 笑
フルサイズの高画素機と中判のスペック差については、近いうちに別記事でまとめます。Z7、Z8あたりと並べて、画素ピッチと面積と実売価格で見るとどうなるか。そちらのほうが実用的な記事になりそうです。
本当の対抗馬は「Z7のままでいい」です
ここまで書いておいて何ですが、いちばん強い選択肢は買わないことです。
Z7は4575万画素でISO64スタート、画素ピッチはX2Dより大きい。三脚に載せて絞って撮るぶんには、破綻する場面がほとんどありません。98万円をレンズと三脚と、あとは単純に撮りに行く回数に回したほうが、撮れる写真は増えます。
これは本当にそうです。
そのうえで、それでも中判に行く理由があるとしたら、1.7倍の面積と16bitの階調が出す立体感です。あれはZ7では出ません。数字で説明できる部分はこの記事でぜんぶ出しましたが、最後に残るのは数字じゃないところなんですよね。
まとめ、私の購入計画
整理するとこうなります。
- ベースISOを理由に中判へ行くことはできない。Z7がすでにISO64で、X2D IIとの差は3分の1段
- 中判の利はセンサー面積約1.7倍と16bitの階調。高感度はむしろZ7のほうが画素ピッチで有利
- X2D IIと初代X2D 100Cはセンサーが同一。新しくなったのはAFと読み出しと処理系
- 三脚の風景だとLiDAR AFもAF-Cも10段の手ブレ補正も使わない。実質の差は3分の1段と0.3段と背面モニターと60g
- X2D II新品と初代中古の差額は約47〜56万円。XCD 4/28PとXCD 4/45Pが2本とも買える金額
- 初代X2D 100C中古+28P+45Pで約98万円。これが結論
買う順番としては、まずボディと45Pを先に。標準1本で撮れる状態を作ってから、超広角の28Pを足します。いきなり2本そろえると、どちらの画角で考えているのか自分でも分からなくなるので。
時期は中古の出物次第です。57万円という数字は今の最安なので、ここは定期的に見ていくしかありません。
ボーナスいくらもらえるか次第。他にも欲しいカメラたくさんあるのでゆっくり考えたいと思います。
案件で貸してくれたりしないかな〜、、、
次は、フルサイズ高画素機と中判のスペック差をまとめた記事を書いてみようとお思います。今回は中判の中だけで比べましたが、Z7やZ8と並べたときに1億画素がどこまで効くのか。そちらのほうが、たぶん多くの人に関係のある話になります。
また書きましたら読んでいただけると幸いです。
ここまで読んでくれてありがとうございます。またそれではまた次の記事で。さよなら〜
紹介機材一覧



















ちなみにX2D IIのISO50は拡張感度ではありません。国内のスペック比較サイトにはまだ「常用64-25600」と書いてあるところがありますが、ハッセルブラッド公式のプレスリリースにも公式ストアにも「ネイティブISO 50」と明記されています。初代から素子の読み出しを作り直した結果の50です。